新しい生活様式で生き残れる飲食店とは?【アフターコロナを考える】

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クマログ
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飲食店・ホテルで料理人として15年ほど勤務した後、IT企業のマーケティング職へ転職。仕事の大半をブラック企業で過ごしたため、内部事情にはめっぽう詳しい。【飲食店の裏事情】【仕事・転職】【ブラック企業体験談】 が主なテーマのブログを執筆。都内在住アラサー男子。

新型コロナウイルス感染を防ぐための取り組みとして「新しい生活様式」を国民一人ひとりが意識して取り組む必要性があります。

新規感染者数が限定的となり、対策の強度を一定程度緩められるようになった地域であっても、再度感染が拡大する可能性があり、長丁場に備え、感染拡大を予防する新しい生活様式に移行していく必要がある。

引用:厚生労働省HP



多くの飲食店が苦境に立たされている現在。


アフターコロナの世界でも生き残るために飲食店が取るべき行動とは何なのでしょうか?

新しい生活様式は義務なのか?

新しい生活様式義務ではありませんが会社やお店など事業を行っている場合はガイドラインを作成し、従業員に定着させることが求められます。


新型コロナウイルスで亡くなった日本人は全世界と比べても非常に少ない数ですが、アメリカでは10万人、イタリア、スペインでも1万人以上の死者が出ています。(※2020年5月28日現在)


日本ではマスクを着用したり手洗いをしっかりする習慣があるためここまで感染が防げているのか、日本人の体質が新型コロナに強いのか、現時点では結論は出ていません。しかし、世界各国で猛威を奮っている現状を考えると、緊急事態宣言が解除されたからといって日本でも決して油断することは出来ません

新しい生活様式を守らなければデメリットしかない

会社員
義務ではないなら守る必要ないのでは?
自粛に疲れたし、私の仕事はテレワークで充分稼働出来るから今までのように家族で旅行行きたいし居酒屋で深夜までお酒を飲みたい

私の働く飲食店は緊急事態宣言が解除された翌日から営業を再開しました。もちろん、カウンター席の前にアクリル板を設置したり、席数を通常の3分の1に減らし、営業時間も短縮しています。


その日に来店されてお客さんが乾杯の音頭を取るときに発した言葉が

「コロナ収束、お疲れさまぁ~」


「コロナ自粛の終了を祝って乾杯!」



などでした。

約1ヶ月半ぶりに営業を再開できた喜びと、コロナへの危機感がすでに薄れてしまっている人がいる悲しさが交錯しました。

ここでハッキリとさせたいのが、緊急事態宣言が解除されたからと言って、新型コロナの拡大が収束したわけではないということ。

繰り返しになりますが、アメリカを始めとする欧米各国ではとんでもない数の死者が出ています。また、これから寒い季節を向かえるブラジルやアフリカなどの南半球の国でも新型コロナウイルス感染者は急増しています。

日本でも感染者がゼロになったわけではありません。一人ひとりが感染拡大を軽視すれば、

ウイルス感染の拡大が抑えられない

第2第3の緊急事態宣言により、さらなる経済悪化

飲食業や宿泊業、アミューズメント業界などを始めとした倒産ラッシュ

いつまで経っても以前のような生活には戻らない



例えテレワークに対応している会社で勤務しており、緊急事態宣言によって何ら影響がないとしても、あなたの身内や知り合いに影響が出ているのです。


仕事面でなくても、感染拡大が収束しない限り、

■小・中・高の学生の学習の進み具合が悪くなる

■遊園地などのアミューズメント施設に入場制限(営業時間の短縮)があり、本来のように楽しめない

■どこもかしこもアクリル板やビニール素材で隔離されてる商業施設

■失業者が増えて治安が悪化

■意味不明な正義感を振りかざした自粛警官の登場

上記のようなことは避けられません。これがずっと続く世の中って絶対に嫌ですよね?

「自分には関係ない」



と思っている人ほど、その人の親や兄弟・親族など、周りの人は結構ダメージを受けています。

こういった背景からも、「義務」や「強制」でなくても一人ひとりが新しい生活様式を理解し、実践することが求められます。

年齢や性別、職業など関係なく一人ひとりが感染拡大の防止に努める

その間に医療機関や専門家達の努力によってワクチン(特効薬)を開発

承認が降りれば一般使用出来るようになる

これまで(緊急事態宣言前)の生活に戻る

徐々に経済も回復する

「今までの生活に早く戻りたい」

と願うならなおさらです。

飲食店がすべき対応は?

新しい生活様式を取り入れる背景は以上で、ここからは今後飲食店はどのような対応が必要なのか話を進めます。

  • 新しい生活様式を基準に感染予防のための対策【飲食店】

・オープンキッチンやカウター席の前にアクリル板を置き飛沫感染を防止する

・席数を減らして密接を緩和させる

営業時間を短縮する

・大皿をやめて小皿や小鉢盛りで料理提供

・ブッフェレストランであればトングをこまめに消毒するか、使い捨てビニール手袋を配布する

上記はほんの一例に過ぎません。

飲食店経営者や現在飲食店の店長やシェフを勤めている人であれば、これらを行うことが決して難しいことだとは思わないでしょう。

しかし、実践した場合どれも飲食店の収益モデル上、売上が下がるという悲しい現実に直面します。

義務化ではないので、今まで通りの席数で営業を続けることも出来ますし、アクリル板を設置しなくても料理の提供はできますが、その決断はハッキリ言って確実に自分の店を苦しめることになります


というのも、対応を怠ると、緊急事態宣言期間中にも関わらず営業を続けたパチンコ店のように世間から叩かれて店のシャッターを締めざるをえない状況に追い込まれる可能性や、「正義」の意味を履き違えた自粛警官に誹謗中傷され、店の名誉を傷つけられる恐れがあるからです。


連日のように、

「新型コロナは危ない」


「自分だけでなく他の人に感染させるな」


「密接は避けろ」

と毎日毎日言われ続けたらソーシャルディスタンスが日本人どころか全世界の人々に確実に浸透します。嫌でも意識します。

【ソーシャルディスタンス】
直訳は「社会的距離」。
感染予防や感染拡大を防ぐために人との間隔をあけること。

・信号待ちやレジに並ぶ時に、場所が指定されてなくても近づきすぎないようにする

・電車の席の間隔をあける

・開店前のお店の行列に並ばず時間をあけて買い物をする



緊急事態宣言の発令を受けて人々の意識はものすごく変化しました。

「義務化ではないなら定着しないのでは?」



と誰もが思っていたかもしれませんが、多くの人が無意識に新型コロナの感染を防ぐ行動を取るようになってます。

  • 新しい生活様式に基づいた感染症対策を行ってない飲食店は今後…

■安全面を軽視してると見なされ客足が遠のく

■ネットで誹謗中傷されたり、自粛警官の標的になる可能性も

当面の間飲食店を利用する客は減る

信号待ちや電車の中での行動が変化してきているということは、密接状態を防ぐ心がけが定着しているということであり、新しい生活様式を充分に理解しているということになります。


感染予防や拡大を防ぐことにつながると同時に、飲食店やサービス業にとってはかなり痛手です。言うまでもなく、「客が来ない=売り上げが立たない」という事態に陥ります。


いつまで新しい生活様式を続けるかは専門家達でさえ答えを出せない状況です。あと数ヶ月で全面的に解除される場合もあれば、数年経っても守り続けなくてはいけないことも。

・営業時間が短縮されている

・入場制限がかかっており窮屈で入りづらい

・テイクアウトメニューが美味しくない



これらを理由に、飲食店内で食事をせず、ZOOMやスカイプを使用したオンライン飲みやオンライン合コンなどが注目され、今後も利用者は増える傾向にあります。

「家で食事をする人が多くなる=飲食店が繁盛しなくなる」


ということです。


世論的に長時間密接空間にいることすらダメな行動として捉えられる流れですから…。

今後が厳しい飲食店は?

  • 新型コロナにより飲食店が窮地に立たされている理由

・営業時間の短縮や席数の削減など感染防止対策をする必要があるから

・経済活動が停止し不景気になるため金のかかる多くの人が外食を避けるようになるから

・連日のメディアによる感染防止の報道に影響され、一人ひとりが密接空間を避けるように注意深くなるから



長い間客に愛され続けた飲食店。
ミシュランで星を取ったり著名人から大絶賛されるレストラン。
近所の人同士の交流の場となっているカフェ。


これら全ての飲食店は新型コロナウイルス拡大によって、倒産や廃業の危機に立たされてます。

緊急事態宣言により営業を止めていた場合、売り上げなど発生するわけがありません。アナログ仕事の代表でもある飲食がテレワークで収益をあげるなど出来ませんから。


営業自粛期間にテイクアウトメニューを提供していた場合でも、前年の4~5月より売り上げを叩き出したお店はほぼないでしょう。私が働く職場でもテイクアウトをやりましたが全然儲けになりませんし、2回目、3回目の利用をしてくれることもありませんでした。

このような逆境の中、飲食店でも新しい生活様式を取り入れながら営業をしなければなりません。この先、生き延びるお店と簡単に潰れていく飲食店に二極化すると私は考えます。

  • 今後危ない飲食の業態

価格設定が安価で、回転率の高さによって利益を生み出していた飲食店

・営業時間の長さで勝負していた24時間営業のファミレスやファストフード店

・アルコールの種類と店内の居心地の良さで評判だったカジュアル店

・品数の多さを最大の売りとしているブッフェレストラン



上記のような業態は「営業時間の長さ」と「回転率(来客数)」があってこそ薄利でも利益を生み出してきましたが、新しい生活様式によって両方とも封じられます。しばらくの間は営業時間の短縮と、密接を防ぐために店内の席数を減らす対策をしなければいけないからです。

ハッキリ言って、

・単価の高い高級レストラン

・新型コロナウイルス感染拡大前からテイクアウトメニューに力を入れていた業態



以外の飲食店全部がヤバい状況です。

売り上げを守る・利益を出すための解決策

人々の安全を守りつつ、営業を続けるならば新しい生活様式を取り入れなければなりません。そんな中、飲食店が売り上げや利益を確保するためには下記のような対策があげられます。

・食材をコストダウンさせる

・本来3人でシフトを回していたとこを2人に減らす(人件費削減)

・人数制限や予約のみの対応に切り替え、食材ロスを減らす

・再度来店してもらうために安全面と衛生面での安心をアピールする

・テイクアウトメニューの開発&マーケティング

食材のコストダウンと人件費削減は、新型コロナウイル関係なく危機に陥った飲食店が取るべき行動として基本中の基本ですので、ここで説明することは省略します。

食材ロスの削減

食材ロスによる損害はバカに出来ません。


何とか利益を出しつつ、新型コロナウイルスの収束まで耐える場合の選択肢として、予約のみの対応にしたり、入場制限をかけるなどがあります。これにより、仕入れを最小限にしたり、人件費を削減することも可能です。


売り上げは前年より確実に減ることは避けられませんが、コストを抑えることで利益を確保することは充分に可能。


私もやってみましたが、席数が減ったと言えど、慣れないテイクアウトを販売しながら店内営業するのは思いのほか激務です。オペレーションが確率するまでは、入店制限したり、販売個数をあらかじめ設定しておくことをオススメします。

安全面と衛生面での安心をアピールする

緊急事態宣言の発令により、多くの人の意識が変わりました。


自粛要請が出てるにも関わらず営業を続けている店に悪質な張り紙を貼ったり、SNSで「店主がコロナに感染してるぞ!注意!」などデマを流したりするアホが湧いてます。


なりふり構わずネットに悪評を拡散する輩を逆手に取って、お店を宣伝してもらうという方法もありますが、リスクは高すぎますし、現実的ではありません。


やりすぎた行動に出る人はごく僅かですが、「コロナ=危険」という認識はすでに広まっており、誰もが感染症防止対策を疎かにしてる店より、徹底してる店を選ぶようになるということは否めません。


飲食だろうがなんだろうが、結局は「信頼」が一番大切。

今後は感染拡大の防止に取り組んでいるか否かを基準にお店選びをする人が増加するでしょう。

テイクアウトメニューの開発&マーケティング

緊急事態宣言による営業自粛期間にウーバーイーツなどの宅配サービスが業績を伸ばしまくってるというニュースを見た人も多いのでは?


でもそれは配送代行業の話。


休業要請中にガッツリとテイクアウトで売り上げを叩き出したお店はほぼありません。


これは当然のことで、テイクアウトメニューを販売したとて、そもそも外出している人がいないので安かろうが美味しかろうが売れませんよ。


常連さんなら励ましの言葉とともに一度は来てくれますが、リピートしてくれましたか?

売り上げでなく利益のことを考えたら、


飲食店単体だけで

メニュー開発

仕込み・作成

来店(通りすがり)した人へ販売



ここまでしなければおいしい商売とはいえません。

Uber Eats(ウーバーイーツ)の手数料
飲食店側は売り上げ(Uber Eats利用料を含む)の35%を負担しなければならない



しかし、外出の自粛が解かれたら、アイディア次第でテイクアウト路線に変更し、ヒット商品を生み出せば充分に売り上げを叩き出せます。

というかむしろ、営業時間の短縮や席数の削減をしながら営業する場合、今までと同じスタイルで利益を確保するのは無理です。

・「お店でも使ってます!」など宣伝し、業者から仕入れた野菜を販売する

・イタリアンの店だが唐揚げ丼やラーメンなど業態の違うメニューを提供する

・テイクアウト商品に力を入れる



どこのお店も生き残りをかけて、必死にアイディアを考えて実行しています。今までやってきたスタイルを貫きたい気持ちは痛いほどわかりますが、危機的状況を乗り越えるためには、多少手段を選ばず柔軟に営業をする必要性があります。

テイクアウト加盟店舗募集【menu(メニュー)】

1日でも早く、お客さんで溢れるお店に戻したい!

緊急事態宣言が発令されたのは4月の中旬ですが、飲食業はそれ以前の2月からすでに大打撃を受けています。インバウンドに頼り切っていたお店の場合、すでに存続が危ぶまれている状況です。


営業時間の短縮や、席数を減らすといった対応をしながら今までと同じ営業スタイルでは売り上げが確保出来ません。


テイクアウトメニューに力を入れたり、入店制限を設けて経費を削減するなど、これまで考えもしなかった商売をしなければ存続が危ぶまれます。


かと言って感染拡大の防止を疎かにして営業を続けた場合、長期的に損をするのは自分ら飲食業界全体。

「あの頃のように、もう一度繁盛しているお店で働きたい…」



飲食店で働く人はみんな同じ気持ちです。

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