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「飲食業界=ブラック企業」というイメージが大きく広まりつつある昨今ですが、本当にブラックな職場ばかりなのでしょうか?
「いや、待て。飲食業界でもきっとホワイト企業もあるはず…」
そう思った私は、「ホワイト企業の特徴」を何個かピックアップして、飲食店で過去5社(アルバイト含めたら8社)で働いた時のことを思い出しながら、それぞれ当てはめてみることにしました。
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まずはホワイト企業の特徴を抽出
■労働時間が適切に管理されている
■有給休暇取得率が高い
■基本給が高い
■福利厚生が充実している
■完全週休二日制・祝祭日も休み
■女性が働きやすい環境
■明確な評価制度がある
■研修制度が充実
■離職率が低い
参考させて頂いたページ ・「https://www.jaic-college.jp/useful/u-9618/」・「https://shukatsu-mirai.com/archives/25762」
ホワイト企業の主な特徴は上記の通り。
これを一個づつ、私が過去に働いた飲食店を経営している会社に当てはめてみます。
【評価の仕方】
各項目の最後に私の過去5社で正社員として働いていた経験や、その他一般的な飲食業界の会社を基準に、総合的に考えて採点します。
・該当する→○
・どちらとも言えない→△
・該当しない→✕
この3つで評価します。
さて、いくつ「○」があるか、今から楽しみであります。
労働時間が適切に管理されている
結論↓
管理されてるとこは一つもありませんでした。
飲食店の収益モデルと、人手不足、稼働時間を考えると、長時間労働が避けて通れません。
店長者やシェフになると、一ヶ月の労働時間が「400時間」を超えることは普通にあります。しかも、管理監督者ということで、月々の給料に雀の涙程度の固定残業代があるくらいでほぼ手当なんかゼロに等しかった会社がほとんどです。
店長などの管理職でなく一般社員でも、みなし残業が「90時間」と過労死ラインを超えてから初めて1時間単位で残業手当が付く職場もありました。
悲しい話ですが、「適切な労働時間が管理されてる」という飲食店経営の会社はほとんどないのが現状です。
採点:✕
有給休暇取得率が高い
ある程度組織としても大きい企業だと、有給を付与されるとこはあると思いますし、実際私も貰えてました。
しかし、
「使いたい時に使えた!」という会社は過去に一つもありませんでした。
採点:✕
基本給が高い
飲食店の正社員の給料は、どこも大差ありません。
25万円~40万円
くらいです。
数字だけ見たら「案外悪くないかも?」と思うかも知れませんが、それは罠です。
・固定給として残業代が含んでいる会社がほとんど(残業代出るとこなんて殆どない)
・サービス残業、残業代なし、休日出勤
・低いボーナス(ボーナス実質なし)
見せかけの給料自体は「低すぎる…」とは思いませんが、異常なほどの残業や、勤務時間外にある会議や無駄な研修に強制さんかさせられてる背景を考えた上で、時給換算したら、絶望します。
それに、ベテランになろうが、技術を極めても、飲食店経営の企業のイチ社員のままだと、他の企業に比べて圧倒的に基本給は低いです。
採点:✕
福利厚生が充実している
結論から先に言うと、充実してない、それどころか何一つとして福利厚生がないという会社で働いたこともあります。飲食業界の会社で福利厚生に期待するだけ無駄です。
過去に「うちの会社は福利厚生しっかりしてます!」とアピールしていた会社でさえこんな内容。
■毎月、姉妹店の商品券1000円分贈呈
→プライベートの時間に職場に近づきたくないわ
■スポーツジムの年会費20%OFFクーポン配布
→いや、休みないから通うヒマないって
■健康診断無料
→それ当たり前じゃね会社として?
■社長の実家で採れたみかんをプレゼント
→ボーナスよこせ
全然嬉しくねーよ
採点:△
完全週休二日制・祝祭日も休み
飲食業界ではほぼありえません。
採点:✕
女性が働きやすい環境
よく耳にするフレーズですが、「女性が働きやすい」というのは、子育てをする女性にとって仕事しやすい環境という認識でしょうか?
となると、
・残業が多い
・休みが少ない
・好きな時に有給休暇が取りにくい
・労働時間、業務内容共に激務
以上の観点からして、お世辞にも「女性が働きやすい」とは言えません。
採点:✕
明確な評価制度がある
上長(店長など)が平社員と面談し、目標に到達したかどうかを採点する機会はあります。職種・業種関係なくどこの会社も、ボーナス支給前なんかよくやるのでは?
評価制度があるのは確かですが、「明確」とはお世辞にも言えない理由があります。それは、
パワハラしまくる人ほど上層部に君臨してるから。
飲食業界が「ブラック」というイメージが急速に広まる原因の一つは間違いなく古い体質・昔ながらの考え方で育ち、今現在もそれを濃く受け継いでいるからです。
【昔ながらの考えの例】
・長時間働くことを美徳としてる
・指導のためなら「殴る」「蹴る」「暴言を浴びせる」ことを良しとしてる
・部下や後輩に仕事を教えない(見て盗め!のスタンス)
・先輩、上司に媚びへつらう体育会系
このような方々が指導者として評価される飲食業界に、明確な評価制度なんてあると思いますか?
採点:✕
研修制度が充実
これまで私は、飲食店がどこも深刻な人手不足に直面している問題の背景に、「まともな研修がない」ということを言い続けてきました。
- 研修が充実してないと
■新入社員たちが仕事を覚えられない
→つまらなくなってすぐに辞めてく
■能力不足のまま店長などの管理職に就任
→当然、店を回せず経営陣に避難され、尻拭いとして長時間働かせられる
結果:だれも飲食業界を志望しなくなる
私の考えですが、仕事は出来るようにならないと楽しくありません。右も左もわからない未経験の新人にまともな研修を行えないと、出来るようにはなってくれるわけがない。
また、飲食店経営者はあえて充分な研修をせず、新入社員を店長やマネージャーに任命します。管理職(管理監督者)という役職を与えて社員のモチベーションと基本給を上げ、いざ能力不足で店の売上が上がらなければ、新米店長に責任をなすりつけるためです。
お前管理職だろ、給料もいっぱいもらってるくせにこのざまか、
落とし前つけろ!
などといい、アルバイトや他の社員を削ってわざと人手不足にし、一人あたりの負荷を大きくして人件費を削減することで取り返そうとします。
よくあるブラック飲食会社は、飲食店のスタッフとして求められるスキル(調理技術や、接客の心得、商品知識など)の研修よりも洗脳まがいのマインド研修にものすごく力を入れます。
■「夢」「希望」「仲間」「家族」「幸せ」といった前向きな言葉を多用する
■経営者の過去の栄光をひたすら布教し、「社長すごい!」と従業員に植え付ける
■「お客様の幸せと会社の成長がすべて」という理念に基づき、異常なまでの激務を強いる仕組みづくり
採点:✕
離職率が低い
厚生労働省が発表したグラフを見てください。
【業界別離職率トップ3】
1位:宿泊・飲食サービス業 26.9%
2位:生活関連サービス業 23.9%
3位:その他サービス業 19.9%
もう飲食業が離職率の高さダントツの一位です。
この数字と結果をみれば他の説明は何もいらない。誰でも一瞬でわかること、それは…
飲食業=ホワイトではない
採点:✕
「飲食店はホワイトか?」検証してみて思うこと。
もうやる前からわかりきってはいましたが、飲食業界にホワイトな要素はほぼありません。それはこの業界に15年ほどいた私が断言します。
私自身は好きで始めた仕事ですので、心折れる瞬間は何度もありましたが、それでも多少の理不尽さとキツさは我慢して乗り越えてきました。その経験からわかったことがあります。
「飲食業界は万人にオススメすることは決して出来ない」
「ブラック企業=人生終了」みたいな空気が広まってる昨今では、飲食業界で働こうとする人はかなり減ってます。ネット社会ですので、飲食店の過酷さが多くの人に広まったのでしょう。
私もたまに、記事作成の参考にするためネットで飲食店で働く人や、辞めた人の声などを検索します。そして必ずでてくる言葉は
■飲食店は労働時間がヤバい
■ブラックばかり
■料理長がバイトを殴った
■店長が毎日働いてて顔が死んでる
■給料が低い
飲食店でバイトすらしたことない人にとって「本当かこれ?」と思う人もいるでしょう。しかし、こんなことが起こるのは事実ですし、今現在でも続いています。
たしかに、デマだったり信用性のない情報も多々流れていますが、飲食店のブラックな現状についての内容は、ほぼほぼ間違っていません。それどころか、長く働けば働くほど、書き込みをした人さえ度肝を抜かれほど、さらに酷いことが行われてる現場もあります。ちょっとしたネットの書き込みなんて可愛く思えるくらいです。
今回の企画を通じて言いたいこと
「ホワイト企業への就職=人生の勝ち組」ではない
こう言うと、長らく飲食店でこき使われてた私の負け惜しみのように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
たとえ就職先が上であげたような「ホワイト企業の特徴」にすべて当てはまったとしても、自分にとって居心地が良いとは限りません。また、長期間やりがいや目標を持ち続けられるとも限りません。
社会人の人なら今後の人生三分の一以上を費やすこととなるのが仕事です。
■ホワイトだけど居心地が悪い職場
■ブラックだけど、やり甲斐のある会社
この2つに関しては、もう個人の価値観なので、誰かに「辞めたほうがいい」、「頑張って続けなよ」と言われたとしても迷ってはいけません。
繰り返しますが、仕事は、これからの残りの人生三分の一以上を費やす時間です。自分の信念や目標に基づき、これからを生きるべきです。
例外として
■ブラック企業でなおかつやり甲斐もない、居心地悪い
このような場合は続けるメリットは何一つとしてありません。すぐに辞めるべきです。
精神的に疲れて一時的にモチベーションが湧かない場合は少し休んでみるのも一つの手段です。私自身も修行時代、自律神経失調症になり、しばらく休みました。その間、「もう飲食の仕事はムリだ、転職しよう」と心が折れて毎日気分が暗かったですが、体と心を休ませたら、「もう一回頑張ってみるか!」と回復するまでになりました。
なぜ復帰できたのか…。今考えたら、やっぱり「仕事は好きだった」からです。例え、ブラック企業であれ、パワハラ上司であれ、仕事はやり甲斐をもって取り組んでいたため、一時的に心が折れても、少し休めば意外と回復するものです。
しかし、ブラックでしかもやり甲斐も何も感じていなければ、一度心折れたり、体を壊したら二度と復帰できないでしょう。
「転職して切り替え!」
これができれば幸せです。しかし、ブラック企業で疲弊すると、仕事そのものに恐怖や抵抗を感じ、次の一歩が踏み出せなくなる人もいます。「鬱」の人なんかまさにそう。
そうならないためには、やはりブラックなところを早めに脱出。それが出来なければせめて自分がやり甲斐や信念を持って取り組めるように考え方を変えるしか方法はありません。
飲食業界を抜け出して他業種へ転職したい。
この場合はまずは少し休んで冷静になってみる。それでも気持ちが変わらなければ、次の道へ進めばいいのです。
心折れた状態で飲食店の仕事を続けた先に待っているのは、長時間労働の激務と割りに合わない給料です。やり甲斐もってやってるならまだしも、モチベーション続かない状態で飲食店で働くのはもったいなさ過ぎます。
飲食店でしか正社員の経験がなくても、親身に相談に乗ってくれて、かつ自分に合った転職先を紹介してくれる転職エージェントを使用するのも一つの手です。
つらい思いをして疲れているなら、そのことを転職エージェントに相談するのもありです。
当たり前ですが、行動しなければ転職先は決まりません。
「心を無にしてひたすら長時間労働・休日出勤を続けますか?」
それが嫌なら他業種へ転職することをオススメします。
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